聞き取れないのはなぜか?
まず映画でも海外ドラマでも、聴き取りにはいくつかの段階があります。
1)音が聴き取れる。
2)単語が聴き取れる。
3)文が聴き取れる。
4)文章が聴き取れる。
音が集まって単語になります。そして、単語が集まって文になります。そして、文が集まって文章になります。
各段階でできない部分があると、聴き取りができない、ということになります。
そして逆に、これらの段階で、できない部分をなくしていけば、聞き取れるようになっていきます。
ここまでの話は抽象的なので、わかりやすいように、日本語で考えてみましょう。
次の4つの質問に答えてみてください。
①あなたは、月9のドラマで、役者さんの話す日本語の音が聴き取れますか?
②役者さんの話す、日本語の単語が聴き取れますか?
③役者さんの話す、日本語の文が聴き取れますか?
④役者さんの話す、日本語の文章が聴き取れますか?
おそらく、これらのすべてに、「はい」と答えられたと思います。
これらのすべてが当たり前のようにできるので、日本語を私たちは聴き取ることができるのです。
しかし、次の4つの質問はどうでしょうか?
①あなたは、海外ドラマで、役者さんの話す英語の音が聴き取れますか?
②役者さんの話す、英語の単語が聴き取れますか?
③役者さんの話す、英語の文が聴き取れますか?
④役者さんの話す、英語の文章が聴き取れますか?
おそらく、これらの中で、「はい」と答えられないところが出てくるのではないでしょうか?
まず、①の役者さんの話す、英語の音が聴き取れているでしょうか?
たとえば、growとglowの違いが聞き取れるでしょうか?thickとsickのどちらが言われたか、とっさに判断できますか?hurt[hə́:rt]とheart[hɑ́:rt]の違いがわかりますか?
もしこれらの違いがわからない場合は、おそらく、英語の音に聞き取れていないところがかなりあります。
次に、②の単語が聴き取れているでしょうか?
確認のために、次に放送される2つの文を、聞き取ってみましょう。
1)
2)
どうでしょうか?
聴き取れたでしょうか?
聴き取れなかった場合は、次の2つの原因が考えられます。
①そもそも、読まれた単語を知らない。
②読まれた単語のスペルを見たらわかったが、単語の正しい発音を知らなかったので、知っている単語でも聞き取れなかった。
たとえば、buriedを「ブリード」、occurredを「オキュアド」、regionを「レギオン」だと覚えていたとしたら、これらの単語のスペルを知っていたとしても、聞き取ることはできません。
次に、③の文の聴き取りはどうでしょうか?
次の英語を聞き取れますか?
1)
2)
どうだったでしょうか?
これらの文の聴き取りができましたか?
おそらく、これらの文の中に知らない単語はなかったと思います。
しかし、それでも聞き取れなかった、という事実があります。
なぜでしょうか?
それは、これらの文の中に、「省略」と「音の変化」がたくさん起きていたからです。
たとえば、①の文で、What’sはどのように発音されていましたか?
しっかり「ワッツ」と発音はされていませんでした。[wʌ́ts]の中の[ʌ]の音はかなり弱くなり、[wts]のように聞こえました。
このように疑問詞whatは、カジュアルな発音で、音の変化が起こります。
また、②の文では、might haveの部分はどのように発音されていましたか?
might have「マイト ハブ」ではなく、「マイラ」のように発音されていました。これも、英語で頻出の音の変化です。
このような音の変化や省略は、学校できちんと教わる機会がないので、多くの人は、聴き取りに苦労しています。
そして、④の文章の聴き取りはどうでしょうか?
長い文章が聴き取れない場合は、そもそも英文を読むスピードが遅い可能性があります。ネイティブの自然な会話は、1分間に150語~250語程度のペースだと言われています。
たとえば、次の英語の音源を、原稿を見ながら聞いてみてください。
(9分04秒)
My third story is about death.
When I was 17, I read a quote that went something like: “If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.” It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.
Remembering that I’ll be dead soon is the most important tool I’ve ever encountered to help me make the big choices in life. Because almost everything ― all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure – these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important. Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
(10分12秒)
これは、有名なアップル創業者のスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチの中の一部です。
この部分は193語あり、スティーブ・ジョブズは68秒かけて話しました。つまり計算すると、60秒あたり、約170語のスピードで話しています。
さて、このスピーチと文章の聴き取りには、どんな関係があるのでしょうか?
それは、もし上記の英文を、60秒あたり170語のスピードで読めないなら、それを聞いても理解できない、ということです。
仮に、上記の英文を68秒使って、3分の1のところまでしか読めないなら、当然話の流れについて行くことはできないのです。
ですから、文章の理解には、速読力が必要になります。
聞き取れない理由まとめ
ではここで、これまで話してきた、英語を聞き取れない理由をまとめます。
それは、次の4つです。
①音が聞き取れない→正しい発音を知らない。
②単語が聞き取れない→正しい単語の読み方を知らない。
③文が聞き取れない→文の中の「音の変化」や「省略」を知らない。
④文章が聞き取れない→速読が出来ていない。
逆にいうと、これらの聞き取れない弱点を、すべて潰せば、今よりもはるかに聞き取れるようになります。
つまり、正しい発音を知り、正しい単語の読み方を知り、「音の変化」と「省略」を知り、速読が出来るようになれば、聞き取りは必ず容易になります。
そして、私もそのようにして、聞き取れるようになりました。
では、これらの弱点潰しは、どこで出来るでしょうか?
確かに、いろいろな英語の本やYouTube動画やアプリなど、たくさんの教材がありますが、それぞれがリスニング力アップに特化しているわけではありません。また、色々な教材を探したり、試したりするには時間がかかります。
一つの教材で英語リスニング力アップを達成できるオンライン教材はないでしょうか?
それを次のページで紹介します。