省略形・弱形(前置詞)(1)【基本】

チャレンジ問題:次の英語を聴き取ってみよう。

Josh seems to be hanging out with a bunch of bad boys ( ) the park lately.
Josh seems to be hanging out with a bunch of bad boys (at) the park lately.
ジョシュは最近公園で不良たちと付き合っているみたいだ。

どうでしたか?聴き取れたでしょうか?

実は、今回の英語は、スピードが速い以外にも、聴き取りにくいポイントがありました。

それは、『前置詞の省略形・弱形』が使われているという点です。

前置詞は、代名詞と並び、『省略形・弱形』が非常によく、というか、ほぼ常に使われる語です。

そして、やっかいなことに、省略や弱化が進むと、単語と単語の間に、いわば『埋もれてしまう』という現象が起こります。

今回は、”~ bad boys at the park ~”のところで、前置詞atが、ほぼ聞こえなくなっていました。

理由は、前置詞atは語尾のtが破裂音なので、聞こえなくなり、『a(t)』のようになり、さらに『a(t)』のaもあいまい母音[ə]のために、非常に弱くなる傾向があります。

したがって、今回のatは、aもtもあまり聞こえず、単語の間にわずかな『間』があるような状態になっています。

ネイティブは、この『間』から、前置詞が何かを意識的あるいは無意識に推測して文を理解しています。

ですから、私たちノンネイティブも、このような聞こえなくなる前置詞の存在を知って、必要な場合は推測して文を理解する必要があります。

それでは、ここで、頻出の『前置詞の省略形・弱形』を確認し、実際に聴き取りの練習をしていきましょう。

【前置詞の省略形・弱形】

強形省略形・弱形省略形・弱形のポイント
1of(o)f, o(f)f[v]やoといった発音になる。
2fromfm
3ata(t)破裂音のtが聞こえなくなる。
4out ofoutta
5with[wíð][wð], [w(ð)]母音の[ɪ]がほぼ消えて、[wð]のようになる。また、さらに省略が進んで、[ð]が弱まり、[w(ð)]のようになることもある。
6to[tú:][tə]toの語頭の[t]の破裂が弱まることがある。

1)

弱形:

one of them

強形と聞き比べてみよう。

強形と比べると、ofが非常に弱くなり、o(f)「オ」のように発音されていることがわかります。

2)

Oh, don’t make fun of me.
ofがo(f)「オ」のように発音されている。
“make fun of ~”は「~をからかう」という意味。
おい、僕をからかうなよ。

3)英

What do you think? In the mood for slice of pizza?
ofが「o(f)」のように発音されている。。
どう思う?ピザを食べたい気分?

4)

弱形:

I’m from Tokyo.

fromがfmのように発音されている。

5)

弱形:

Look at me.

atがa(t)のように発音されている。

6)

They will attack us anytime a(t) night.
atがa(t)のように発音されている。
彼らは夜いつでも襲ってくるだろう。

7)

We’re gonna gather at his house and do our summer homework together all through the night.
atがa(t)のように発音されている。
彼の家に集まって、夜通し一緒に夏休みの宿題をやるわ。

8)英・英

A: My mom is out of town this week so my Dad is in charge of dinner.
B: Is your Dad a good cook?
A: No, but he’s the best at ordering takeout.
Aで、out ofの短縮形のouttaが使われている。
A: 今週はママが留守だから、パパが夕食担当なの。
B: お父さんは料理が上手?
A:いいえ、でもテイクアウトを頼むのは一番上手よ。

9)英

Now you can’t get outta this house so you should probably have your cat taken to the vet.
out ofの短縮形のouttaが使われている。そして、そのouttaのtの音が消え気味になっている。
君はこの家から出られないんだから、君の猫を獣医さんのところに連れて行ってもらわなきゃね。
vetはveterinarian(獣医)の略。

10)英・米

A: I don’t want you to be angry with him. B: Why do you always take sides with him?
Bのwithが[w(ð)]のように発音されている。。
A:彼に腹を立てないでほしいの。B:どうしていつも彼の味方をするんだ?*take sides with ~で「~の肩を持つ、~の味方をする」という意味。

11)

Hey, grandma! Will you please stop cleaning the toilet bowl with my toothbrush?
withの語尾のthが弱まり、wi(th)のように発音されている。。
おい、ばあちゃん!オレの歯ブラシで便器を掃除するのやめてくれない?

12)

Wanna go (t)o the orchard and pick some peaches? Peaches should already be ripe.
toの語頭の[t]の破裂が弱まり、「(t)o」のようになっている。
果樹園に桃を摘みに行かないか?桃はもう熟しているはずだよ。*この文では、文頭で「Do you」が省略されている。本来は、「Do you wanna ~」という形だった。カジュアルな会話では、「Do you」が省略されることがある。orchardは「果樹園」、ripeは「熟している」という意味。

13)米・英

A: Do you want to go to the museum with me?
B: I don’t know. I heard tickets are very expensive this time of year.
A: They are. But we can get a student discount.
Aの発言のgo to the museumの中の、toの語頭の[t]の破裂が弱まり、「(t)o」のようになっている。
A:一緒に美術館に行きたい?
B: どうだろう。この時期、チケットはとても高いって聞いたけど。
A:そうだね。でも、学生割引があるんだよ。
*student discountは「学生割引」という意味。