6つの分野の力

リスニング力をアップさせるためには、次の6つの分野の力を付けることが重要です。

1) 単語力

2) 読解力

3) 直読直解力

4) 英語の発音の知識

5) 英語の発音変化の知識

6) 速い英語を聴き取る力

1) 単語力

まず、単語力ですが、これは知らない単語ばかりの英語は聴き取れないからです。

自分の全然知らない言語を、リスニングすると考えてください。たとえば、ロシア語をリスニングするとして、ロシア語の単語を一切知らなければ何も聴き取れませんね?

ロシア語の単語を1,000語知っていれば、きっと、ところどころ知っている単語が発音されていることに気付き、聴き取れるところが出てくるでしょう。

ですから、リスニング力をアップさせるために、単語力をアップさせることは重要です。

2) 読解力

しかし、単語力だけでは十分ではありません。

単語力に加えて、読解力も必要です。

『リスニング力なのに、なぜ読解力?』と思う方もいるかもしれませんが、次の例を考えてみてください。

もし、次の英文を読んでわからないとしたら、それを聴いたとき、その英語を理解できるでしょうか?

My older brother earns no less than 10,000,000 yen a year.

この文は、『私の兄は1年に1000万円も稼ぐ』という意味ですが、もしこれを読んでもわからないなら、それを誰かが言うのを聞いても、理解できないでしょう。

ですから、このような英文は、単語が聞き取れるだけではダメで、単語が集まってできた文の意味を理解する、つまり読解できる力が必要です。

もし、英単語の知識がある程度あるのに、聞き取れないとしたら、読解力があるかどうかも意識してみると良いです。

3) 直読直解力

また、リスニングには、ただの読解力に加えて、『直読直解力』が必要です。

これはどういうことかと言うと、次の文を読んでみてください。

People in the mild climates in the northern hemisphere sometimes experience

periods of very hot and humid weather.

どうだったでしょうか?

『北半球の温暖な気候のところに住む人々は、ときどきとても暑く湿気の多い天気の時期を経験する』と理解できたでしょうか。

しかし、リスニングにおいて、このように全部を綺麗な日本語に訳すような仕方で聞くことはできません。

理由は、日本語と英語は語順が違うため、訳すとしたら頭の中で順番を変えないといけないが、これをすると時間がかかり過ぎるからです。

違った聞き方をする必要があります。

では、どうすればいいのでしょうか?

答えは、先に述べた『直読直解力』を鍛える、ということです。

『直読直解』とはどういうことでしょうか?

それは、文を頭から順番に、意味のカタマリごとに理解する、ということです。

例文をもとに説明します。

People in the mild climates in the northern hemisphere sometimes experience

periods of very hot and humid weather.

という文は、意味のカタマリごとに、次のように分割できます。

People / in the mild climates / in the northern hemisphere / sometimes experience / periods of very hot and humid weather.

そして、その分割したパーツごとに理解をしていきます。

People / 人々

in the mild climates / 温帯の

in the northern hemisphere / 北半球の

sometimes experience / ときどき経験する

periods of very hot and humid weather. とても暑く湿度が高い天気の時期を

このようにすれば、書かれている順番に、頭から理解していくことができるので、時間の短縮につながります。

もちろん、日本語と英語は、語順が異なっているので、その違いを考慮に入れて理解する必要はあります。

たとえば、日本語と違って、英語は後置修飾をする言語なので、その違いを踏まえて、理解していく必要があります。

例:

 “The book to read before the exam” という英語は、 “The book”(その本)という語を “to read before the exam”(試験前に読むべき) という語句が後ろから修飾している。

また、日本語はSOV言語ですが、英語はSVO言語なので、その違いも押さえた上で、理解する必要があります。

これらの、日本語と英語の文構造の違いを意識した上で、前から順番に、意味のカタマリごとに英語を理解する、という直読直解力を鍛えていけば、文を理解するスピードが上がります。

この直読直解力は、読解でも速く読むために役立ちますし、リスニングでも、このような理解の仕方に慣れれば、内容把握力が上がります。

この力を鍛えるには、日本語と英語の語順の違いに着目した、専用のトレーニング教材を使うことが有効です。

『ネイティブリスニング』を使うなら、そのようなトレーニングをすることが可能です。ぜひ、活用してみてください。

4) 英語の発音の知識

リスニングにおいて、もう一つ重要な力は、『英語の発音について知っていること』です。

このように書くと、『日本語訛りの英語でも、外国人には通じるから、英語の発音はやらなくてもいい!』と思われる方もいるかもしれません。

しかし、これは、リスニングの観点からすると、誤りです。

なぜなら、リスニング力を上げるうえで、英語の発音の知識があると、聴き取りがぐっと楽になるからです。

たとえば、hat(帽子)とhut(小屋)という単語は、カタカナ表記では「ハット」となり、同じです。

また、bat(野球のバット)とbut(しかし)という単語も、カタカナ表記では「バット」となり、同じです。

しかし、ネイティブにとっては、これらの単語の発音は全く別物です。

hatは発音記号では[hǽt]と表記され、hutは[hʌ́t]と表記されます。

このhatの母音の[æ]とhutの母音の[ʌ]は、ネイティブにとっては別の音です。

もし、これらの二つの音が同じ「ア」だと思っていると、hatとhutのどちらかが発音されたとき、どちらが発音されたのか、迷ってしまいます。

そして、どちらか判断できないと、内容の理解が不十分になってしまいます。

文脈から、どちらか推測するとしても、その推測に無駄に時間を使ってしまうことになります。

bat [bǽt]とbut [bʌ́t]に関しても同じことです。

このような、日本語で同じ扱いがされていても、英語では別の音というケースは非常にたくさんあります。

lateとrate、thinkとsink、boatとboughtなどは、そのごく一例です。

しかし、『英語の発音について知っている』なら、これらの音の違いがわかるので、迷わずにどの単語が発音されたのかわかります。

これが、英語の発音の知識が重要な理由です。

とはいえ、『発音は難しい』、『やってもできない』という思いを抱えている方も多いかもしれません。

しかし、最近では発音を学ぶ教材も、非常に充実してきており、良い教材を使うなら、正確な発音について深く理解することが、以前よりはるかに容易になっています。

ですから、発音について理解を深めることは、十分可能です。

やらないよりもやったほうが、リスニング力にプラスの影響がありますし、もちろん発音を正確に理解すれば、ネイティブにとって自分の英語が通じやすくなります。

ですから、発音力を鍛えることは、絶対にオススメです。

『ネイティブリスニング』では、50本以上の動画と数百の音源を使って、英語の発音について、深く理解することができるので、利用を強く推奨しています。

5) 英語の発音変化の知識

英語の発音変化の知識も非常に重要です。

初級者から中上級者になるために、非常に重要なのが、この『英語の発音変化の知識』です。

たとえば、次の英語はどのように聞こえるでしょうか?

聴き取れましたか?

先ほどの英語は、

Where will he go?

と発音されていました。

『あれ、そんな風には聞こえなかった!?』と思う方も多いと思います。

実は、カジュアルな会話では、ネイティブは、英語をかなり省略したり、音を変化させたりしてしゃべります。

先ほどのWhere will he go?も、

willの中の “wi”が消え、heの語頭の “h” の音が消え、

Where (wi)ll (h)e go?

つまり、

Where ll e go? (ウェアリーゴー)のようになっていました。

本当に「ウェアリーゴー」のようになっているかどうか、以下の音源を聞いて、確認してみてください。

また、以下にスロー音源もあるので、それも使って確認してみましょう。

どうだったでしょうか?

最初より聞き取りやすくなっていたのではないでしょうか?

このように、英語では、「省略」などの「音の変化」が起こります。

カジュアルな会話では、非常に頻繁に起こります。

実際のところ、ハリウッド映画の英語が聴き取りづらい原因は、かなりの場合、この『音の変化』です。

また、現地のネイティブの会話が聴き取りづらい原因も、この『音の変化』です。

もちろん、『発音の変化についてはあまり知らないけれど、英会話学校の先生の英語は聴き取れる!』という方もおられると思います。

しかし、それは日本人の英語学習者のために、ネイティブの先生が親切に、「ゆっくり」「はっきり」発音してくれているからです。

アメリカやイギリスに行けば、英語が出来て当然ですので、現地のネイティブは「ゆっくり」「はっきり」発音してはくれません。

まさに、海外映画そのものの英語で容赦なく話します。

日本で発売されている教材の多くは、学習者向けに「配慮」(あるいは「忖度」)して、「ゆっくり」「はっきり」発音しています。

しかし、そのような教材は、初級者にとっては良いかもしれませんが、現場で使い物になるハイレベルなリスニング力を養成することはできません。

ですから、ネイティブのリアルな喋りを聴き取れるようにする専用のトレーニングが必要です。

しかし、このネイティブのリアルな喋りを聴き取れるようにするための教材は、日本では圧倒的に不足しています。

また、いきなり「映画」を使って学習しようとしても、それはレベルが高すぎたり、体系的な学習ではなかったりするので、効率が悪いという問題があります。

そのため、学習者が効率的にハイレベルなリスニング力を身に着けるには、ネイティブが「どのように」発音を変化させているのか、体系的に学習する教材が必要です。

そのニーズをしっかり満たした教材が『ネイティブリスニング』です。

この教材は、100本以上の海外映画の分析を通して作られました。この分析から、英語では『音の変化』が約30パターン発生するということがわかり、『音の変化』を1,000本以上の音源を使って体系的に学習することができます。

密度の濃いリスニング学習を、日本にいながらすることができるので、非常に効率的です。

おそらく、この教材を使って得られる学びは、海外生活数年分に匹敵するでしょう。

『ネイティブリスニング』を強くオススメします。

6) 速い英語を聴き取る力

最後に、『速い英語を聴き取る力』も重要です。

日本で発売されている教材の多くは、学習者への配慮から、現地の英語よりも非常に遅くなっています。

英検1級やTOEICのリスニング音声は、本場のネイティブのしゃべりよりも、かなり遅いです。

このハイスピードに対応できるようにするには、速い英語を大量に聞くことが重要です。

『ネイティブリスニング』は、15人以上のネイティブスピーカーに、手加減なしで、普段通りの話し方で音源を吹き込んでもらっています。

ですから、現地のスピードに慣れることが可能です。

【追加ポイント】

上記の6つのポイントに加えて、『訛りのある英語に対応する力』を身に着けることは役に立ちます。

なぜなら、世界では「アメリカ英語」だけでなく「イギリス英語」、「オーストラリア英語」、「カナダ英語」、「インド英語」など様々なアクセントの英語が用いられているからです。

日本で市販されている教材は圧倒的に「アメリカ英語」偏重という現実があります。

『ネイティブリスニング』では、アメリカ英語はもちろん、イギリス英語の音源も充実しており、どちらの英語も鍛えることができます。

そして、歴史的経緯から「オーストラリア英語」と「カナダ英語」は、「イギリス英語」の影響を受けているため、イギリス英語のリスニング力を鍛えることは、オーストラリア英語、カナダ英語の聴き取りにプラスに働きます。

まとめ

ここまでで、リスニング力を付けるためには、6つの分野の力が必要だということをお伝えしました。

リスニング力を付けるには、単に聞くだけではなく、多くの分野のトレーニングが必要です。

これは、スポーツにたとえれば、サッカーが上達するには、シュート練習、ドリブル練習、ヘディング練習、パスの練習、セットプレーの練習など、多くの種類の練習が必要なことに似ています。

リスニングもただ聞くだけでなく、①単語力、②読解力、③直読直解力、④英語の発音の知識、⑤英語の発音変化の知識、⑥速い英語を聴き取る力といった多くの分野が関わっているので、総合的に力を付けていきましょう。